ここ最近、ずっと山登りをしたいと思っている。
その思いとは裏腹に日に日に寒さが増していき、山への足は遠のくばかりである。
もっと手軽に山を味わいたい…と考えながら手元をみると、そこには山があった。
これまであまり意識したことがなかったが、南アルプスの天然水は山から採れた水である。僕たちに最も身近なのはこの山かもしれない。
しかし、いかんせん山感があまり感じられない。
もっと山を感じられるようにしていこう。
というわけで、いろいろな飲み物の山を作った。
ここまですれば、山を感じざるを得ないだろう。
全国の山ガール・山ボーイたちのために作り方を説明しておくと、まずはそれぞれの飲み物のパッケージの山のイラストをトレーシングペーパーで写し取っていく。
写し取った山のイラストを画像としてパソコンに取り込んだら、拡大して出力。それに合わせて発泡スチロールをカットして色を塗ればあっという間に完成だ。
今回はおなじみの「山」を5種類作成した。
皆さんはそれぞれ何の山か分かるだろうか。
それでは、5つの山を飲み比べていこう。
①おいしい水 天然水富士山
まずは日本を代表する山である富士山を楽しめるこちらの水。
目の前に富士山が迫ってくる。家に居ながらにして世界遺産を楽しめるなんてとても贅沢だ。
実際に飲んでみると、富士山の圧がけっこうすごい。自分は何を飲んでいるのかよく分からなくなる。飲んでいる間は目の前に壁がある感じだ。
しかし、飲んだ後に手元をみるとそこには富士山がある。普通に水を飲むよりも新鮮な水を飲んでいる気持ちになって、心なしか美味しい水に感じる。家で湧き水、意外といぞ。
結果:いつもよりも美味しく感じる
②南アルプスの天然水
南アルプスの天然水は富士山のように特定の「山」を指定した水ではなく南アルプスという「連峰」の水である。どこのコンビニにも置いてあり、よくこんなに採水できるなと思うが、これも複数の山の集合体である連峰のなせる技なのかもしれない。
早速飲んでいきたい。
これは富士山とは比べ物にならないくらい「壁」である。連峰の特性上、仕方ないのだが、山感があまり感じられない。むしろパッケージを見ている方が山らしい気すらしてくる結果となった。同じものを作ろうとしている人がいたら、「連峰はやめておけ」とアドバイスしてあげよう。
結果:連峰はNG
さて、ここまでは室内に居ながらにして湧き水を楽しんできたが、ここからはもっと湧き水感を味わうために外で飲んでいきたい。
③evian
次は海外の水の代表格、evian。
イラストの山は硬水のイメージにぴったりな険しさがある。「お前、日本の山じゃないな?」感がすごい。
しかし、日本の山でなくても、今の僕ならば山からの水を飲むことができる。ビルに囲まれた都心のど真ん中でも山からの水を楽しめるのだ。
この山から直接いただく姿はかなりワイルドである。険しい見た目の山ということもあり、富士山に比べて近寄りがたい印象を受けるこの山から飲むevianは、いつもよりもますます硬い水質に感じられた。
さらに寝そべって山からの水を飲めば、もう湧き水以外の何物でもない。水がうまく口に入らず顔に降り掛かってくるあたりも、自然の厳しさを真正面から感じられて良い。きっと本来のevianはこのくらい尖った水なのだろう。
結果:硬水らしさをより感じられる
④エメラルドマウンテン
ここまでは水ばかりだったが、山といえばコーヒーも忘れてはいけない。水よりも山によって味の違いやこだわりが感じられる飲み物である。
できる大人は仕事の合間の一服にもこだわりをもっている。
たとえ缶コーヒーであっても山からの挽きたての美味しさを求めるのである。
いつもの缶コーヒーが特別な一杯に感じられる。そして山からコーヒー豆を収穫する労働者の顔が脳裏に浮かんでくる。たかが缶コーヒーと言えども、その影には深いストーリーがあったのである。とんだ深煎りコーヒーであった。
結果:焙煎が深まる
⑤マウントレーニア
最後は、こちらもコーヒーだが缶コーヒーとは一線を画したオシャレ路線の商品である。ストローで飲めるところも女性人気の秘訣かもしれない。
もちろん山があってもストローで飲みたい。山からストローが伸びる姿からは、おしゃれさといかつさが共存したアンビバレンツさが感じられる。
実際に飲んでみると、ストローのおかげでこれまでの飲み物よりも山を味わっている感が増し増しである。ビジュアル的にも山のエキスを吸っているようにしか見えない。レーニア山という山があるのかどうか知らないが、レーニア山の味はマウントレーニア味に違いない。一周回って普通のことを言っている気もするが、もうよく分からないので深追いはやめておこう。
結果:ストローで吸うとより山を味わっている感が増す
⑥忘れてはいけないあの山
さて、ここまで5つの飲み物の山を飲んできたが、ふと道端を見ると何かがある。
あれは…
おぉ、これは…
そこにあったのは、そう、「きのこの山」である。
この山を抜きにコンビニの山を語るわけにはいかないだろう。ちなみにどの部分が「きのこの山」なのか判断しかねたので、パッケージ正面すべてをきのこの山として勝手に認定した。とても登りにくそうな山である。
では、早速きのこ狩りを楽しんでいきたい。
うん、超お手軽にきのこが狩れた。しかもこんな都会のど真ん中で。図らずとも僕にとって初めてのきのこ狩りは浜松町で行われた。この山があれば丸の内でも渋谷でもどこでも手軽にきのこ狩りが楽しめるので、一家に一山備えることをおすすめしたい。
結果:一家に一山、きのこの山
というわけで、6つの山を味わった結果、
いつもよりも美味しく感じる
連峰はNG
硬水らしさをより感じられる
焙煎が深まる
ストローで吸うとより山を味わっている感が増す
一家に一山、きのこの山
という6つの知識を得ることができた。
これから山を作ろうとしている人の参考になれば幸いである。
そして、死ぬまでにあと一回はこの知識をどこかで活かしたい。