日本の時間が生まれる場所でうるう秒を見る

2017年がはじまった。年々一年が過ぎる速度がはやくなっていき焦るばかりである。そんな風に感じている人も多いと思うが、そんな人に朗報だ。なんと今年はいつもより一年が長い。しかも本日1月1日元日が長いのだ。

どういうわけかというと、今年は「うるう秒」が挿入されるためいつもより1秒時間が長くなるのである。そう、長くなると言っても1秒だ。

しかし、この1秒をどう過ごすかにその人の時間の使い方が出るのではないだろうか。1秒だと思って軽んじているとそれ以外の時間も無駄に過ごしてしまうことになる。なんだかうるう秒の使い方でビジネス書が書けそうである。

そんなうるう秒のありがたみを実感すべく、日本の時間が生まれる場所でうるう秒を目撃してきた。

うるう秒が見られるのは東京小金井市にある情報通信研究機構だ。

中央線の国分寺駅もしくは武蔵小金井駅からバスで10分程度の場所にある。

この研究機関は情報処理に関する研究を行っており、重要な役割のひとつに日本での基準となる時間を測り、全国に伝えるというものがある。

そのため、ここにある時計では通常の時計では表示されない1秒追加されたうるう秒を見ることができるのだ。そして今回うるう秒が挿入されるのは8時59分60秒である。

正面玄関の上に設置された大きな電光掲示板に表示される。

会場には8時30分頃についたが既にカメラを用意するファンや報道陣が集まっていた。

記念撮影用パネルもでていた。

さて、うるう秒が挿入される8時59分60秒までは時間があるのでロビーで待っていると、うるう秒を前にして事前の説明会が開かれた。

説明してくれるのは情報通信研究機構 電磁波研究所所長の平さん

そもそもうるう秒とは何なのかということを簡単に整理しておこう。

まず、時間には天文時と原子時という2つの種類がある。天文時とは地球の自転をもとに測定している時間で、もともと人間が太陽の動きなどをもとに作り出したものである。

その後、人間は原子の動きを測定することで正確な時間を測定することができるようになった。それが原子時だ。

1秒の定義もこの原子の放射の周期によって定められている。9,192,631,770周期分。原子動きすぎである。

それでこの原子時が永久的に狂わず正確なのに対して、天文時は地球の自転がちょくちょくずれるため、原子時と天文時にズレが生じてくる。

このズレを調整しないとどうなるかというと、いつかは時計ではお昼の12時を指しているのに外は真っ暗!ということになり兼ねない。それを防ぐためにうるう秒を挿入して調整するのだ。

下の画像の赤い線がうるう秒による時刻の調整の歴史である。


これを見るとわかるが、毎年とか3年に1回とか周期が決まっているわけではない。

これは地球の自転のブレが不安定で予測できないためである。なので次のうるう秒がいつ来るかは分からない。

そして日本の時刻を定める原子時を定める原子時計があるのがこの情報通信研究機構、つまりここが日本の時刻が生まれる場所というわけである。

そうこうしているうちに、うるう秒が近づいてきた。

ここからはみんなで電光掲示板の前で待機してうるう秒の瞬間を待とう。



近づくうるう秒に会場のボルテージがあがっていく。よく考えたらたった1秒のために何分も前からスタンバイするイベントはなかなかないだろう。

1秒に5分待つことを例えば2時間のイベントに置き換えるとなんと600時間、実に25日間も待つことになる。そんなイベント聞いたことない。

さて、いよいようるう秒の瞬間がやむてきた。うるう秒30秒前から動画でご覧いただこう。

うるう秒の瞬間の現場の一体感と余韻を感じさせるすきを与えない短さがなんとも言えない空気感であった。

しかし誰がなんと言おうと貴重な瞬間だし、元日からわざわざこれを見に来るために集った人たちを僕は愛していきたい。


そしてこの先も人々が違和感なく暮らすためこの1秒を設定し、しっかりと時を刻む人々の思いがこの「完了」の2文字に込められている。その思いを間近で感じられてよい体験となった。

2017年も1秒に全力で生きていきたい。

今年もよろしお願いします。

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