セブンイレブンの恵方巻POPから学ぶ現場感覚の大切さ

今日は節分だ。

節分といえば今や豆よりも恵方巻きを買う日になってきている(だって豆よりも恵方巻きのほうが美味いから)が、大量廃棄によるフードロス問題が表面化したことで特にコンビニなどは控えめな展開だったように思う。

そんな中、セブンイレブンは今年も恵方巻きのPOPをしっかりと店内に設置して拡販していた。

調べてみると、大阪の一部のエリアで食べられていた太巻に「恵方巻き」という名前をつけて販売し、全国的な節分アイテムとして根付かせた立役者が何を隠そうセブンイレブンなのだ。火付け役として恵方巻きを盛り上げていく責任と志しがセブンイレブンにはある。

で、問題はそんなセブンイレブンに今年飾られていた恵方巻きのPOPである。

立体の恵方巻きの下に今年の恵方である「南南東」の文字が大きく書かれたボードが吊り下げられているものだった。あの表記からいって実際に南南東の方角に向けて設置されているのだろう。ということは急に「北西から未確認飛行物体接近中!」という緊急速報を最後にスマホがぶっ壊れたとしても、今ならセブンイレブンに駆け込めば大体の方角がわかるということだ。(どんな状況だ)

こんなライフハックに気づいてしまったらツイートしないわけにはいかないのでセブンイレブンに写真を撮ろうと立ち寄った。

しかしそこには思っていたのと違うPOPがかかっていた。

立体の下のボードが矢印じゃない

立体の恵方巻きの下には普通の長方形のボードがかかっていた。以前別のセブンイレブンで見たときには確かに矢印だったのになぜだ。これでは何のライフハックにもならない。

店内を見回すと、あった。

コンビニの片隅に追いやられた矢印

そうそう、この矢印だ。以前見たセブンイレブンでは恵方巻きの下にこの矢印のボードが吊り下がっていたのだ。

ははーん、そういうことか。天下のセブンイレブンだけあって店舗事情によって使い分けられるようにPOPも2種用意してあるのだろう。レイアウトの関係などでどうしても南南東の向きにPOPをつけられない店舗は長方形のボートを使用するのだ。

ならばと思い周辺のセブンイレブン数店舗を巡ってみたが、

ない!

ない!!

どこにもない!!

何店舗巡っても矢印のボードが吊り下げられた店舗がないのだ。

最後に以前矢印のボードを確実に見た(遭難した時に便利じゃん!と思った)店舗に行ってみたが、なんとここも矢印が長方形に差し替えられていた。

となると、これは使い分けられるように2種のボードが用意されていたわけではなく、何らかの事情であとから長方形のボードが手配され、矢印のボードと差し替えるように指示があったと考えるのが自然だろう。

何らかの事情というのは普通に考えるとやはりクレームだろうか。「この方角は本当に南南東なのか」「違うならば誤表記だろう!」みたいなクレームはまぁそれなりにありそうだ。

詳しい事情は分からないがこの事例から思うのは、「デザインって現場の感覚が意外と抜ける時あるよなー」ということだ。

方角を表現するのに矢印は一番手っ取り早いし伝わりやすいモチーフである。あくまで想像だが画面上でデザインを作り上げる中で、恵方の伝わりやすさを一番に考えた結果なのかもしれない。

しかし実際に店舗で取り付けた場合、矢印がその方角を指しているように見えることは明らかで、現に俺もそう思ってしまった。でもおそらく矢印と方角は一致していなかった。急に「北西から未確認飛行物体接近中!」という緊急速報を最後にスマホがぶっ壊れたときにセブンイレブンに駆け込んでも我々は方角を知り得ないのだ。(だからどんな状況だよ)

誤認を与える可能性があるならば差し替えは当然の判断だろう。

今回はデザインの話だが、企画にしても同じことがいえる。実際にかたちになったときの見え方の確認は怠ってはいけないのだ。

何も知らない人が現場でそれを見た時にどう思うのか。頭の中の「通行人A」や「村人D」を大切にしたい。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)