我が家の味噌が恐ろしく減らない。
一人暮らしを始めて「日本人なら味噌でしょ!」と意気込んで買ったものの、朝に味噌汁を作っている暇などはもちろんなく、夜も簡単な自炊はするもののイマイチ味噌を使った料理に手を出す勇気がなく、今に至っている。
このままでは冷蔵庫の中で二度目の熟成期間を迎えてしまう。
と思っていた矢先、新聞の料理コーナーで「ヨーグルトぬか漬け」というレシピを見つけた。味噌とヨーグルトを混ぜるだけで簡単にぬか漬けが作れるらしい。これは味噌を大量に使用するチャンス!というわけで様々なヨーグルトでぬか漬けを作り、ぬか漬けに一番合うヨーグルトを決めていきたい。
今回エントリーするのはこの6つのヨーグルト。群雄割拠のヨーグルト界を代表する個性豊かなメンツに見ているだけで腸が整ってくる。
それでは早速漬けていこう。
といっても、作り方はとても簡単。
①ポリ袋にヨーグルトと味噌を入れ、袋の上から揉むように混ぜる。分量はヨーグルト200gに対して味噌を大さじ3。
揉むとこんな感じ
②漬けたい野菜を縦半分に切り、塩をふって軽く揉む。
ちなみに今回は漬物の定番キュウリとナスをチョイス。この2つが並ぶだけで一気にお盆感が出るが今日は竹串で手足はつけない。
③野菜を①の袋に入れて、2晩漬ける。
あとは袋から取り出して、さっと水で洗い、食べやすい大きさに切れば完成だ。
というわけであっという間に6種類のヨーグルトぬか漬けが完成した。
正直、一人暮らしで食べる漬物の量ではない。きっと「いや~漬物を漬けすぎちゃって」とか言いながらご近所に漬物くばるおばさんはこういう状況に陥ってるのだろう。今なら漬物を漬けすぎちゃう気持ちが分かる。
なんてことを思いつつ、実際見た目には違いが分からないので早速食べていこう。
エントリーNo.1 ヨーグルト界の大御所「ブルガリアヨーグルト」
まずは国内ヨーグルトシェアの約3割を占めるブルガリアヨーグルトシリーズのプレーン(低糖)タイプである。
ヨーグルトと言えばブルガリアという人も多く圧倒的な知名度を誇るが、どんな味かと言われると「ヨーグルトの味」としか答えることができない。いわばヨーグルト界のスタンダードと言ってよい。
そんなブルガリアヨーグルトで漬けたぬか漬けは、良くも悪くも「普通のぬか漬け」であった。逆に言えば、言われなければ全くヨーグルトで漬けたとは分からない味だった。個性を出さず健気に発酵を手伝う、言うなれば縁の下のヨーグルトだ。スタンダードヨーグルトとしての意地を見せる結果となった。
ぬか漬け度:★★★★☆
ヨーグルト個性度:★☆☆☆☆
コンビニにもスーパーにも低糖じゃないブルガリアヨーグルトが売ってない度:★★★★★★★★
エントリーNo.2 スイーツ系ヨーグルト「バニラヨーグルト」
次はバニラが配合されたこのヨーグルト。ヨーグルト自体もバニラの甘みが強くどちらかと言うとスイーツとして楽しめるヨーグルトだ。
このヨーグルトで作ったぬか漬け、ぬか床から取り出してすぐに食べた時は思ったよりもバニラの味はせず、普通のぬか漬けだったのだが、漬けてから1日、2日と時間が経つうちにどんどんバニラの味が強くなっていく!かといってぬか漬けの味も薄くはならない。バニラとぬかが激しくせめぎ合う中で、美味しさがどんどん失われていくという右肩下がりなヨーグルトぬか漬けであった。
ぬか漬け度:★★☆☆☆
ヨーグルト個性度:★★★★☆
バニラの底力度:★★★★★★★★
エントリーNo.3 フルーツ系ヨーグルトの雄「朝食りんごヨーグルト」
3つ目も多くの方が知っているであろう朝食りんごヨーグルト。このヨーグルトはりんごの果実がゴロゴロと入っていてあっさりなのに意外と食べごたえがある。さすが、朝食を謳うだけはある。
さて、肝心の味だが思ったよりもりんごの味はしない。しかしりんごとは認識できないまでも、どこかフルーティーな後味は残っている。フルーティー漬物という新ジャンルを切り開いた感がある。漬物はご飯と食べるものだが、これならトーストやエッグベネディクトの付け合せにもイケるかもしれない。
ぬか漬け度:★★★☆☆
ヨーグルト個性度:★★★☆☆
漬物界の黒船度:★★★★★★★★
エントリーNo.4 リスクと戦うぬか漬け「LG21」
お次は健康系ヨーグルトの代表格「LG21」だ。恋愛レボリューション21と共に21界の代表格でもある。成分は何やらすごいのだろうが、味はいたって普通のヨーグルトであるLG21はぬか漬けにした時にどんな健闘を見せるのだろうか。
…結論から言ってしまうと、健闘むなしくあまり特徴のないぬか漬けとなっていた。味はブルガリアヨーグルトぬか漬けとほとんど変わらない。ただ一口目、ほんの少しだけ、ほんとーーーーに少しだけ身体に良さそうな味がした。その思いを確かめようと立て続けに二口目を食べた時はそんな味はしなかった。(これがホントの「ぬか喜び」である。
ぬか漬け度:★★★★☆
ヨーグルト個性度:★☆☆☆☆
でもきっと身体にいいと信じたい度:★★★★★★★★
エントリーNo.5 ヨーグルトの常識をくつがえす濃厚さ「パルテノ」
そろそろ代わり映えしないぬか漬けの写真に飽きてきたかもしれないが、それぞれのぬか漬けが放つ独特なオーラをどうか感じ取ってほしい。
オーラという意味では突出していたのが、このパルテノ。ギリシャヨーグルトを一躍日本で有名にした濃厚さが売りのヨーグルトだが、濃厚なだけあってぬか漬けもかなりのコクがある仕上がりとなっていた。
他のぬか漬けに比べてもしっかり漬かっていたし、それだけではなく後味にコクの深さが感じられた。きっとギリシャにぬか漬けがあったらこんな感じなのかもしれない。欧米の味だ。
ぬか漬け度:★★★★★
ヨーグルト個性度:★★★☆☆
Nukazuke度:★★★★★★★★
エントリーNo.6 この組み合わせを考えた人は天才「アロエヨーグルト」
最後はコリコリの食感がたまらないアロエヨーグルト。アロエって普通にアロエだけで食べることはほとんどないし、このヨーグルトがアロエの消費をかなり支えていると思う。あとアロエスミスって言いたくなる。
アロエヨーグルトは果肉もたくさん入っているがヨーグルト自体にもアロエの味がかなり染みこんでおり、ぬか漬けにしてもアロエ風味が期待できる。
その期待に応えるように、アロエヨーグルトぬか漬けはヨーグルトらしさとぬか漬けが一番マッチしていた。最後にしてついにかなりの相乗効果を発揮してくれた。ぬか漬けらしさを保ちつつも、後味にアロエの爽やかさがしっかりと感じられ、さらにその2つがうまく融合しているのだ。特にキュウリはアロエとの相性が良かった。ぬか漬け離れが叫ばれる昨今、「オシャレぬか漬け」として注目される日も近いかもしれない。
ぬか漬け度:★★★★☆
ヨーグルト個性度:★★★★★
アロエ万能説度:★★★★★★★★
というわけで6つのヨーグルトぬか漬けを食べ比べてみたが、思ったよりも個性が感じられる結果となった。
個人的なランキングでは
1位 アロエヨーグルト
2位 パルテノ
3位 朝食りんごヨーグルト
4位 LG21
5位 ブルガリアヨーグルト
6位 バニラヨーグルト
という結果になった。
やはり、これまでのぬか漬けの古臭いイメージを打ち破るオシャレぬか漬けが上位にランクインした。せっかくなので、ランキング上位のオシャレぬか漬けをオシャレに食べてみたい。
ヨーグルトぬか漬けをタッパーに詰め、やってきたのはこちら。
野菜たっぷりで女子にも人気の某サンドイッチチェーン店である。
サンドイッチとぬか漬けが同じプレートに乗っている違和感がすごい。しかし、このぬか漬けは普通のぬか漬けではない、オシャレにヨーグルトで漬けてあるのだ。そう思うと一気に華やかに見えてくる。外苑前の店舗のテラス席で食べていても何の恥ずかしさもない。
ぱっとみピクルスなのに、よく見るとぬか漬け。そんな嘘みたいな構図がたまらない。
ただ実際に食べてみると、正直パンと一緒に食べる必要性は感じられなかった。やっぱりご飯がほしい。容易に超えられないぬか漬けの壁がそこにはあった。
それでも外苑前というオシャレタウンでイヤホンをしながらぬか漬けをつまむ、このセンスが許されるのはこのぬか漬けがヨーグルトで漬けられているからだ。
最近はオシャレなけん玉やふんどしに人気が集まるなど、日本の伝統品がリバイバルされることが多い。
ヨーグルトぬか漬けがInstagramを席巻する日も遠くないかもしれない。