【都バス乗車メモ】都02乙 東京ドームシティ→池袋

※※この記事は都バスが実施している「地形テキストラリーGPS」という企画で乗った都バス路線の感想をまとめています※※

東京ドームシティ→池袋東口

乗車日時:2020/01/22 13:30頃

白山通りから春日通りを北上、不忍通りを経由して護国寺の前を通り首都高沿いの音羽池袋線にて池袋へ至る。小石川台地と護国寺の谷が満喫できる路線。まだ他の路線にあまり乗れていないのできちんと比較が出来ないけど、地形的な面白さは高めかも。

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東京ドームシティ沿いの白山通りからスタート。千石方面に向かう下り側が5車線、皇居方面の上り車線が3車線、合計8車線の超幅広な通りだ。災害時にたくさんの人が歩けるようにかな。

少し走るとすぐに左折し春日通りへと入っていく。そしてすぐに上り坂。細長く伸びる小石川台地の突端から台地へと上っていく格好だ。坂の名前は富坂で「富坂上」というバス停の名前にも使われている。江戸時代この付近には鳶職人がたくさん住んでいて「鳶坂」と呼ばれていたのが転じて「富坂」になったらしい。

この富坂は夏目漱石の『こころ』にも描写が残っている。

雨はやっと歇(あが)ったようですが、空はまだ冷たい鉛のように重く見えたので、私は用心のため、蛇の目を肩に担いで、砲兵工廠の裏手の土塀について東へ坂を下りました。その時分はまだ道路の改正ができない頃なので、坂の勾配が今よりもずっと急でした。道幅も狭くて、ああ真直ではなかったのです。その上あの谷へ下りると、南が高い建物で塞がっているのと、放水がよくないのとで、往来はどろどろでした。

ここに出てくる坂が富坂、あの谷というのは春日の谷のこと。春日の交差点の富坂と逆側には今度は本郷台地が迫っておりこちらも坂になっているため必然的に水が溜まりやすい場所だ。漱石の時代は坂も今よりかなり急勾配だったようだが、今でも当時の水捌けの悪さを十分想像できる地形が残っている。

漱石も雨の日にここを通るとちょっとげんなりしてたんだろうな、なんてことに思いを馳せつつ富坂を上っていく。

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富坂を登ると「伝通院」というバス停がある。同名のお寺が近くにあるのだ。伝通院は徳川将軍家の菩提寺として江戸時代は増上寺、寛永寺と並んで江戸の三霊山と称されていたが、明治に入り徳川家の庇護が完全に失われかなり規模が縮小してしまったという。

行ったことないのだが、この付近で生まれ育った永井荷風は「パリにノートルダムがあるように、小石川にも伝通院がある」と賞賛したらしい。ノートルダム大聖堂はさすが褒めすぎだろうと思うがそこまでいうなら一度行ってみたい。

しばらくフラットな道を進むと「茗荷谷駅」のバス停。アップダウンがあるかと思いきや、谷は道路とちょっとずれたところにあるので、この路線では特に谷感は感じられず。

その代わり次のバス停「窪町小学校」を過ぎると少しだけ下り道。窪町の窪みってことだろう。ちなみに窪町という町名は1966年に消滅している。無くなった町名が小学校にだけ残っているってなんかいい。窪町小学校の生徒には誇りを持ってほしいものだ。

窪みなのですぐに上り坂に転じて、大塚三丁目の交差点で左折して不忍通りへと進む。そのまま直進するのかと思っていたので、思わず「おっ!」と声が出てしまった。この路線のハイライトはここから護国寺の先までだろう。小日向台地と目白台地の形作る複雑な谷を存分に体感できる。

下の地形地図を見るとよくわかるが護国寺の前はT字の形で谷が形作られており、バスはこのT字の横棒に当たる道路を通っていく。もう一方のTの縦棒にあたる音羽通りと交差するときに台地によって隠されていた道が急に視界に入ってきて気持ち良い。それにしてもこの音羽通りは両脇を台地に挟まれていてる=両脇にすぐ崖が迫っている珍しい道だが、それはまたこの通りを通る路線に乗ったときに詳しく書こう。ネタを取っておかないと。

赤い線がバスの経路

護国寺の前を通り抜けて護国寺西という交差点で曲がりながらまた坂を上っていく。この坂は小篠坂(こざさざか)という名前が付いている。「さ」が多いな。

こうやって下りと上りを繰り返して護国寺を横目に進むと、台地の先っぽに立っているお寺の特別感というのを改めて実感する。永井荷風は伝通院をノートルダム大聖堂だと言っていたが、神聖さといいそびえたっている感じといいどちらかというと護国寺の方がノートルダム大聖堂ではないだろうか。

小篠坂を上り切ったあとはまっすぐ池袋駅に向けて走り終点「池袋駅東口」のバス停に到着。

地形テキストラリーのチェックポイントはこの路線で7個ゲットして合計20個。坂が多かったわりにバス停の名前には使われておらず数が稼げなかった。残り673個、これ無理なやつだ。

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