映画『シン・ゴジラ』が先週末に公開された。
エヴァンゲリオンの監督でおなじみの庵野秀明が監督を手がけていることでも話題の本作だが、シン・ゴジラと言われると個人的には、こういうビジュアルが思い浮かぶ。
もちろんsinはサインの略であって、シンではないのだが、英語に縁もゆかりもない僕はsinをローマ字読みしてシンと言いたくなるのだ。そもそも日常生活の中でサインコサインタンジェントを使う機会がないので、sinをシンと読んで困るシチュエーションもほとんどない。だからこそ、誰にも否定されることなく、僕の中のsinはシンのままで取り返しのつかないところまで来てしまった。
というわけでこの「sinゴジラ」、もともと水爆実験と放射能という人間の叡智の副産物として生まれたことを考えるとゴジラは純然たる「理系出身」と言えるし、そういう意味でも三角関数と関わりがないとも言い切れない。きっと庵野監督の隠されたメッセージに違いない。
そんなsinゴジラを使えば、自分とゴジラの距離を計ることができる。
まず、今回のシンゴジラは高さが118.5メートルあるらしい。
シリーズ最大の大きさで、その大きさは茨城県で最も大きい建物である茨城県庁とほぼ同じである。
僕もピンとはきていないが、話を進める。
そのシンゴジラを少し離れた場所から見上げていたとする。
そこで、これだ。
sinθ=b/cを皆さんは覚えているだろうか。
懐かしの三角関数、学生時代はこんなの絶対生きていく上で必要ないと思ったが、まさかゴジラとの距離を知るために使えるとは思わなかった。
この図のbがゴジラの高さ(118.5m)、そして角θの先に自分が立ってゴジラを見上げているという状況だ。どのくらいの角度で見上げているかを自分のアゴに分度器を当てて測れば、なんと自分のいる位置からゴジラの頭の位置までの距離が割り出せてしまうのである。
例えば45度の角度でゴジラを見上げていた場合、
sinθ=45度=45/180=1/4=b/c
b=118.5のためC=118.5÷1/4=118.5×4=474mとなる。
このように、ゴジラのことを45度の角度で見上げている時、ゴジラの頭から自分までの距離は474mということが簡単に導けるのだ。
474mと言えばアメリカはシカゴにあるジョン・ハンコック・センターをも凌ぐ。
僕もピンとはきていない。
この距離がわかっていれば、例えばゴジラの吐く放射熱線が時速300キロだとすると、秒速で83.5m程度なので、発射から自分のいる場所へ到達するまで約5.6秒の猶予があることが分かる。
5秒あれば、なんとか回避できそうな気もしなくもない。それに、5秒あることを瞬時に計算できれば、意外と猶予があることで気持ちが楽になり、車にひかれる時にぶつかってくる車がスロモーションに見えてなぜか避けられない的なことも冷静な思考により回避できるかもしれない。この記事を読んだ皆さんは一つ命拾いをしたと思ってよいだろう。
というわけで、三角関数を駆使してゴジラに挑む人類たちを描いたsinゴジラだけでなく続編のcosゴジラ、tanゴジラからも目が離せない。