今住んでいる部屋も住み始めて半年以上が経った。
はじめはウキウキしていた一人暮らしも徐々に馴染み、今では一人暮らしの部屋になんの面白みも感じなくなってしまった。実家よりも物が少ない分、その思いはすぐにやってきた。
そんなわけですっかり住み慣れてしまった我が家に、どうにかしてもう一度、あの新鮮さを取り戻すことは出来ないか。
そう思って机を見るとあるものが目に止まった。
裏にはこのようにヒルトン東京の宣伝が書かれている。
変わったカタチの紙に釣られてついつい手にとってしまった。
ヒルトンの思う壺である。
「ヒルトンの思う壺」って「シュレディンガーの猫」的な用語っぽい。
さて、みなさんお分かりだとは思うが、このチラシはグーグルマップで目的地などの指定した場所に立てられるピンを模したものである。
このピンを家の中で立ててみた。
ペラペラの紙なので、立てられるように、同じく机の上に転がっていたインクのなくなったボールペンの芯を装着。インクの切れたボールペンの芯が最も輝いた瞬間である。
とりあえず床に立ててみる。
どうだろうか。生活感しかない我が家に突如表れたピン。
何の変哲もない床が突然意味のあるものに思われてくる。
そこに何かあるのだろうか。床板剥がしたら何かあるのか?剥がさないけど。
予想以上の非日常感が訪れた。
この調子でどんどんピンを立てていこう。
炊飯器が宝箱のようになった。
開けたら襲ってくるトラップの可能性もある。
ゴミ箱の中に何かある!
完全にドラクエである。
これは流し忘れたのではないかと不安になる。
肉じゃがを温めたはずなのに、別なレアアイテムに変化してしまったかのようだ。
いつまでも読み進めることの出来ない本を読めと訴えてくるピン
読むと何がゲット出来るのだろう。
いかがだろうか。
部屋の中でグーグルマップのピンを立てると、地図っぽくはないがすごくバーチャルな感じになってゲームの世界にいるような気持ちになる。
あなたも生活感に溢れすぎた部屋にピンを立ててRPGの主人公になってみてはいかがだろうか。